超低摩擦を実現する他元素含有炭素系硬質膜
研究者:野老山 貴行
キーワード
超低摩擦、高耐摩耗性炭素系薄膜、低付着、金型・工具表面保護
野老山 貴行
炭素骨格に新たな元素注入による新しい機能性表面を一緒に作りませんか?
最近の研究テーマ
✦d遷移軌道元素含有炭素系硬質薄膜の成膜
✦ 表面増強ラマン分光法による炭素系硬質薄膜の摩擦の科学
✦ 蛍光発光分光法を用いた摩擦面内可視化の研究
✦ マイクロプラスチックテクスチャを用いた着霜防止表面の創製
研究概要
炭素系硬質薄膜の中でもダイヤモンドと同じsp3軌道を有するテトラヘドラルアモルファスカーボン(ta-C)膜は高硬度、耐摩耗性に優れる薄膜として注目されています。炭素膜が大気中で摩擦されると、大気中の酸素と、膜内の結晶構造における欠陥部が化学反応によりガス化するなどして、炭素骨格の破壊に至ります。このような炭素の酸化反応を抑制可能と期待されるd遷移軌道を有する遷移金属含有炭素系硬質薄膜の成膜を行い、大気中における摩擦摩耗特性の評価を行っています。タンタルの含有により、膜内炭素の酸化抑制の可能性が示され、更なる酸化抑制手法の開発を目指します。大気中でも0.01を下回る超低摩擦の発現を目指して炭素骨格構造の設計指針や摩擦面のグラファイト構造の大きさ・向き・積層数などの解明を目指しています。
産業界へのアピールポイント
- ドリルやエンドミルなどへの成膜により、発熱抑制、切れ味の向上、工具寿命の延長
- 膜質(潤滑油や水との濡れ性、硬さ、添加元素種)のコントロールによる新たな機能の発現
- しゅう動面の超低摩擦・耐摩耗の付与
表面分析・評価法・表面改質
- 金・銀ナノ粒子を用いた表面増強ラマン分光法による極表面分析手法
- ダイヤモンドカンチレバーを用いた原子間力顕微鏡によるナノスクラッチ硬さ試験法
- 紫外線照射装置を用いた炭素系薄膜の表面改質法