研究インタビュー

Interview about research

※所属、職名はインタビュー当時のものです。

岐阜大学工学部 機械工学科 知能機械コース 教授

山田 宏尚Hironao YAMADA

人と機械の快適な関係を目指すヒューマンインターフェイス

機械を駆使する時代から、機械がサポートする時代へ

デジタル社会の到来で、AIやIoTに代表される“第四次産業革命”により、社会全体が大きな変化を迎えています。
従来の機械は、人間にとっての“便利な道具”として“人間側が使いこなす”という定義上での働きにとどまっていました。複雑な機械の使い方を人間側が覚えて使いこなすという、いわば“機械に人間側が合わせていた時代”と言えるでしょう。

しかし、段々と機械の性能が上がるにつれて「メカの中にコンピューターを入れて賢くしていこう」という流れが1970年代後半~1980年代ぐらいに日本で活発になりました。
その時出来た言葉が「メカトロニクス」という和製英語です。“メカ(機械)”の中に“エレクトロニクス(電子回路での制御)”を入れる事で、今まで出来なかった複雑な動きをメカ自身にさせるという事を指します。

その動きは年々加速し、80年代当時では機械を動かす為最小限のCPUパワーしかなかったものが、今ではスマホに代表されるように、非常に高い能力を持ったものが内蔵されるようになってきました。
高度なメカトロニクスがネットワークに繋がる事で、よりインテリジェンスな機械が生み出されていきました。
人間が機械に合わせていた時代から、“機械側が人間に合わせてくれる時代”に突入してきているのです。

 

ソフトウェアの重要性とヒューマンインターフェイス

機械が人間に合わせる時代に重要な事は、「人間にとっていかに心地よい機械との関係を築くか」という事です。それには、“機械側が人間にサービスする”という機能を組み込み、最適化していく必要があります。
これにより、「ソフトウェアの重要性」がますます高まってきている為、メカをつくる側もソフトウェアの知識が必要になってきますし、ソフトウェアを開発する側もメカの事をよく理解していなければならなくなりました。

そこで岐阜大学では、私の担当している「知能機械コース」で、コンピューターのハードへの理解もソフトへの理解も、両方に理解にある人材を育てる取り組みを行っています。
その際に、単に高性能なAIを入れれば良いという考え方ではなく、“人間にとっていかに心地よいか”、“人間をいかいにサポート出来るか”という、「人間と機械とのインターフェイスをどう構築するか」という視点が重要になってきます。
それが、人間と機械との間をつなぐ、ヒューマンインターフェイスの大きな役割です。それをベースに、社会に役立つ様々なメカトロニクスを研究するのが、私の研究であり知能機械コースで学べる事です。

 

人をサポートし、共に働くAMR(自律型協働ロボット)

航空宇宙生産技術開発センターでは、「AMR(Autonomous Mobile Robot:自律型協働ロボット)」を研究開発しています。

以前はAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)と呼ばれる、固定された誘導体が必要な“無人搬送車”を研究開発していましたが、誘導体範囲外での走行は出来ない事と、障害物がある場合に走行が出来なくなるなどの制限がありました。しかし、AMRでは周囲の環境に合わせたルートを自動算出する為、走行上に障害物があっても走行可能で、誘導体の設置も不要です。
AGVが単に物を地点に運ぶ為のものだった事に対し、AMRは“機械自身が自ら考えて人間と協働しながら物を運ぶロボット”と言えます。

このAMRを開発する上で、私の研究室が研究しているのが「ジェスチャーインターフェース」という研究です。

ジェスチャーで指示を与えると、人間が意図している方へ誘導する事が出来る様になる研究で、まさに、人間同士で行う様なジェスチャーでの意志疎通を、人間とメカとの間で行おうという事になります。

AGVでは、細かなルートの誘導体をプログラムしなければいけなかったのですが、この研究によりAMRでは、ジェスチャー1つでルート変更可能になるわけですから、人間とメカとの関係がよりスムーズで快適になるでしょう。この様な事がヒューマンインターフェイスの考え方なのです。

航空宇宙生産技術開発センターが出来た事により、私の研究も他の研究室の先生との連携で、お互いに足りない部分を補い合える為、研究にとってとても良い刺激となっています。まさにシナジー効果ですね。

まだ始まったばかりの名古屋大学との共同研究ですが、このシナジー効果によりAMRの分野は共同研究が上手く稼働している良い例になっています。研究の進み具合もとても良いです。

このセンターを通して、今後も様々な研究が成果を挙げていく事を期待しています。

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